同じ失敗、なぜ繰り返すのか
ショート動画の企画リサーチで、恋愛の話を聞く機会がかなり多いが「また同じタイプに好きになってもらえなかった」「なんで毎回こうなるんだろう」って言葉、ほんとによく出てくる。
友人の咲さんの話、彼女は3年付き合った彼氏と別れた翌月、またほとんど同じ雰囲気の人を好きになった。連絡を返さないタイプ、どこかミステリアスで、褒めてくれない人。
「なんでそっちに行くの?」って聞いたら、「なんでだろ…ドキドキするから?」って首を傾けてた。
そのドキドキ、不安なんだよ。ドキドキに見せかけた、あの人が今何を思ってるかわからない恐怖感。それが「好き」に変換されてる。…これ、笑えない話で、かなりの人に当てはまる。
恋愛のパターンは「慣れ親しんだ感覚」でできている
心理学で愛着スタイルという概念がある。幼少期に親や養育者との関係で刷り込まれた、人との距離感の”デフォルト設定”みたいなもの。
安定型、不安型、回避型に大別されるけど、ここで重要なのは不安型と回避型の組み合わせ。
不安型の人は、相手が自分から離れていく感覚に対して過剰反応しやすい。ちょっと返信が遅れると「嫌われたかも」って胃がきゅっとなるし、相手が少し機嫌悪そうだと「自分のせいかな」って勝手に結論を出す。
回避型の人は逆に、深くかかわられることへの居心地の悪さがある。距離を詰めてくる相手に対して、無意識のうちに冷めた態度をとる。
この二つが引き合うのには理由がある。不安型にとって、回避型の「追いかけさせてくれる感じ」が、子どものころから慣れ親しんだ愛情のパターンと重なるから。
わかりにくければ、こう言い換えると伝わるかも。愛情をもらえるかもらえないかわからない状態が、その人にとっての「普通の恋愛」になってしまってる。
リサーチで見えてきた、うまくいかない人の共通点
動画のネタを集めるために色んな人に話を聞いてきた中で、恋愛に苦しんでいる人に出てくる共通点がある。
一つは、相手のことを「変えられる」と思っている。連絡をくれない人に、もっと気にかけてもらおうとLINEを工夫する。デートの回数が増えれば変わるはず、と待ち続ける。変わらないのはわかってる、でも変わってほしい…そのジレンマの中でじわじわ消耗していく。
もう一つは、自分を後回しにしすぎること。相手の都合に合わせ続けて、気づいたら自分のペースを完全に失ってる。
執着はどこから生まれるか
執着の正体は「承認の欠乏感」
恋愛の執着を、ただの「好きすぎる状態」だと思っている人が多い。でも実際は違う。
執着の多くは、自分が価値ある存在かどうかを、相手の反応によって確認しようとするプロセスから生まれる。
相手が笑顔でいてくれる、返信をくれる、会いに来てくれる。そのたびに「ああ、自分はちゃんと存在していていいんだ」って感覚が一瞬得られる。
でもこれ、薬みたいなもので。効き目が切れたらまた欲しくなる。だから無視されるほど頭から離れなくなるし、冷たくされるほど追いかけてしまう。
執着の激しい恋愛の中にいる人は、相手のことを愛してるというより、相手からもらえる”自分が大丈夫だという感覚”を手放せないでいることが多い。
別れた後も忘れられない理由
「元彼のことが忘れられなくて、新しい出会いに踏み出せない」という話も何度も聞いた。
忘れられないのは、その人が特別だからじゃなくて、その人との間で解決できなかった何かが残ってるから、という見方もできる。
たとえば「自分のことをわかってほしかったのに、最後まで伝わらなかった」という体験。それが宙ぶらりんになってると、その人のことを考え続けることで、頭の中で”続き”を作ろうとする。
咲さんが別れた彼のことを3ヶ月引きずってたとき、ある日「もう一回だけLINEしようか迷ってた」と打ち明けてくれた。送らなかったのは、友人に「それ、答えが欲しいんじゃなくて、送ることで繋がってる感じを味わいたいだけじゃない?」と言われたから。
うまくいかないのは「あなたのせい」ではないが、変えられるのはあなただけ
自己肯定感と恋愛の切っても切れない関係
自己肯定感が低い状態で恋愛に入ると、相手の言動に振り回されやすくなる。相手が機嫌悪いと「自分が何かしたせいかな」と反射的に考えるし、褒められるとその言葉を疑う。
べた褒めしてくれる人より、たまに認めてくれる人の方がやたらと刺さる、なんてこともある。それは「常に認められる感覚」より「たまにしかもらえない感覚」の方が刺激として強いから。
自己肯定感の低さは、努力不足や性格の問題じゃない。それが育ちやすい環境で育てられなかっただけ。ただ、そのまま放置すると、恋愛でしんどい体験を繰り返す確率は上がる。
「傷つきたくない」が恋愛を遠ざける
特に告白や好意を伝えることへの恐怖感を持つ人は多い。
踏み出せない理由を「タイミングが悪い」「まだ早い」と説明するけど、その奥にあるのは、断られることへの恐怖というより、断られたときに自分がひどく傷つく未来を知っているから。
過去に好意を伝えて傷ついた経験があると、その感覚が体に残ってる。心ではなく体が覚えてる。だから「また同じ目にあいたくない」という反応が、理屈より先に出てくる。
これ、弱さじゃないんだよね。自分を守ってきた結果なんだから。ただ、その防衛が今の自分に合っているかどうかは、一度立ち止まって確認してみる価値はある。
繰り返すパターンを変えるために今日からできること
自分の恋愛パターンを「観察モード」で見る
まず、過去の恋愛を3つ思い浮かべてみてほしい。それぞれの相手の共通点、関係の中で感じていた感情の流れ、うまくいかなかった場面。
ノートに書かなくていい。頭の中でざっと流すだけでいい。
そこで「あ、毎回これがしんどかった」というポイントが見つかれば、それがパターンの入り口。
ここで大事なのは、過去の自分を責めないこと。パターンがあったとしても、それはそのときの自分にとって精一杯の選択だったから。気づいた今から、少しずつ変えていける。
執着を手放すための「距離の置き方」
具体的な行動として、元交際相手や気になる相手のSNSを一週間だけ見ない、というのがある。
バカにするなって思うかもしれないけど、これが案外効く。相手の投稿を見るたびに感情が揺れて、それが「まだ好きだから揺れる」と解釈されてしまう。でも実際は、刺激を与え続けているから揺れているだけ、ということも多い。
距離を置くことは、相手への気持ちを否定することじゃない。今の自分に入ってくる情報量を調整すること。
感情に「ラベル」を貼る練習
追いかけたくなる衝動が出てきたとき、「これは不安から来てるのか、本当に好きだからなのか」を一瞬だけ立ち止まって確認する。
不安から来てるなら、行動してもほぼ解決しない。連絡したくなる気持ちの裏に「返信がこなかったらどうしよう」があるなら、連絡した後に不安が消えることはない。
これ、慣れるまでしんどいし、最初はうまくいかなくてもいい。ただ、感情と行動の間に少しだけ間を挟む習慣は、恋愛の衝動的な動きを落ち着かせる。
恋愛以外で「自分が満たされる体験」を増やす
これ、ありきたりに聞こえるかもしれないけど、恋愛依存から出てきた人が口を揃えて言うことでもある。好きなことを一人でできるようになると、「誰かといないと満たされない感覚」が薄れてくる。恋人がいない時間が怖くなくなってくる。
それは一人で生きる覚悟を持てということじゃなくて、一人のときでも自分が自分の友人でいられる、という状態に近づくこと。そうなって初めて、相手に自分の安心感を依存しない恋愛ができるようになる。
台本的アクションプラン:今日からの7日間
ショート動画の台本を書く感覚。
1日目、気になる人または元交際相手のSNSのアプリを一週間だけホーム画面から消す。
2日目、過去3つの恋愛で共通して感じた「これがしんどかった」という感情を、紙に一行だけ書く。
3日目、その日一日で「自分が心地よかった瞬間」をメモする。恋愛と無関係な場面で構わない。
4日目、誰かに連絡したくなった瞬間に「これは不安からか、本当に話したいからか」を5秒だけ考える。
5日目、好きなことを一人でやる時間を30分作る。映画でも散歩でも料理でもいい。
6日目、今の自分が恋愛に求めているものを一つだけ言語化する。安心感なのか、刺激なのか、一緒にいる時間なのか。
7日目、1日目から今日までの自分の変化を、何もなくてもいいから一行で振り返る。
繰り返すパターンは、意識できた瞬間から少しだけ動き始める。

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