恋愛ショート動画の企画を作る仕事柄、届いた相談DMを読むのが夜の日課。
ある一通で、スクロールする親指が止まった。
彼氏と親友がグルな気がします。
読んでる私の胸までザワザワしてきてさ。
グルは、示し合わせて誰かをだます仲間のこと。
知りたいのは、自分が今、だまされる側に立っているのかどうか。
グルの意味と恋愛で使われる場面
恋愛でこの言葉が出てくる場面
DMとコメント欄を読み込んでいくと、使われ方は分かれた。
ひとつめは、彼氏と友達が口裏を合わせているケース。彼と男友達がグルになって、飲み会だったことにしてた。こんな使い方ね。
ふたつめは真逆。友達同士が手を組んで、恋を後押しするケース。みんながグルで、好きな人と2人きりになるよう仕向けてきた、という具合。意外とこっちの相談も届くんだ。
みっつめは、マッチングアプリで会った相手とお店が組んでいるぼったくり。デート相手と店がグルで、会計が10万を超えた。そんな文で出てくる。
グルの意味を恋愛で調べる人が抱えているもの
知りたいのは言葉より、自分の立ち位置
リサーチで会った人たちには、共通点があった。
傷の中心にあったのは、浮気そのものより別のもの。自分だけ知らされていなかった時間の長さだ。
みんなで笑っていたあの飲み会の最中も、2人は裏で話を合わせていたのかも。そう考えた瞬間、過去の思い出まで色が変わると聞いた。
しかも相談相手がゼロ。
いつもなら真っ先に話す友達が、疑いの対象になっているから。
いつか明かされる秘密か、明かされない秘密か
話を聞き続けて、気づいたことがある。
グルには2種類。
誕生日のサプライズや、恋の後押し。時間が来たら本人に明かされる前提の秘密。
浮気の口裏合わせや、ぼったくり。最後まで本人に渡さないつもりの秘密。
見分ける問いはひとつ。その秘密、いつか私の手元に届く予定はあるのか。
大学生のRちゃんの話が分かりやすい。サークルの飲み会で、好きな人の隣だけ毎回なぜか空いてる。みんなで示し合わせて笑い者にしてるのかと、箸を持つ手が汗ばんだそう。
真相は、彼のほうが友達に頼み込んでいた、というオチ。3週間後に本人の口から明かされたとか。いや紛らわしいわ(笑)。
正直言って、この問いを持つだけで、考えすぎかどうかの仕分けがだいぶ進むよ。
彼氏と友達がグルかもと感じた時のサインと確かめ方
説明がそろいすぎていたMさんの話
知人のMさん、27歳。
付き合って2年の彼が、土曜の夜に突然連絡を絶った。翌日の説明は、男友達と朝まで飲んでた、というもの。
Mさんは共通の知り合いでもあるその男友達に、何気なく聞いてみた。
返ってきたのは、店の名前、解散した時刻、誰が先に帰ったか。彼の説明と一字一句同じ。
聞いてもいないタクシー代の話まで付いてきたらしい。
人の記憶って、普通はどこかズレるじゃん?
そろいすぎた説明を聞いた瞬間、背中がヒヤッとした。彼女はそう話してた。
カフェで聞いていた私も、メモを取る手が止まったまま。アイスコーヒーの氷、全部溶けてたし。
結局、彼はその夜、別の女性と会っていた。男友達は頼まれて話を合わせただけだと、後で認めたそう。
考えすぎだったケースとの違い
逆の話も聞いてる。
後輩のYちゃんは、彼と自分の親友が隠れてLINEしているのを見つけた。そこから3日間、ほとんど眠れず…。
ふたを開けたら、プロポーズの指輪のサイズを探る相談。まさかの展開!
2つの話を並べると、違いが浮かんでくる。
Mさんの彼らは、聞かれる前から説明を用意していた。Yちゃんの彼は、聞かれるたびに目が泳いで言葉に詰まる。うそが下手すぎ!
口裏を合わせた話は、なめらかすぎる。隠しごとに慣れていない人の秘密は、ぎこちない。
サインとして使えるのは3つ。2人の説明が細部まで一致する。聞いていない部分を先回りで埋めてくる。自分が会話に入った途端に止まる、グループLINEの流れ。
やりがちな3つの失敗
疑いが膨らむと、手が勝手に動く。
彼のスマホを盗み見る。SNSに匂わせ投稿。友達のほうを先に問い詰めてしまう。
話を聞いた人のほとんどが、このどれかをやらかして頭を抱えてたよ。
盗み見は、見つけた証拠より先に、見た行為を責められて話がすり替わる。
匂わせ投稿は、相手に準備の時間を渡すだけ。
友達を先に詰めると、その日のうちに彼へ連絡が回っちゃう。
今夜から使える確かめ方の台本
ショート動画の台本みたいに、カットで書くね。
1カット目。夜、自分の部屋。スマホは裏返して、メモ帳を開く。引っかかった出来事を、日付つきで3つだけ書き出す。感想は書かない。起きたことだけ。
2カット目。彼と2人きりで落ち着いて話せる時間を選ぶ。お酒の席と深夜は外して。
3カット目。切り出しのセリフはこれだけ。
「土曜の話、私の中でまだ引っかかってて。責めたいんじゃなくて、ちゃんと聞きたい」
4カット目。ここからは黙る。沈黙が10秒続いても、自分からは埋めない。
見るのは、説明の中身より反応のほう。
逆ギレする。話題をそらす。席を立ってすぐ誰かに連絡する。どれかが出たら、その動きが答えに近いよ。
落ち着いたまま、自分から細かい話を足してくるなら、疑いは薄まっていく。
5カット目。答えはその場で出さずにおく。話してくれてありがとう、少し考えるね、と伝えて帰ろ。
グルだと分かった後に選ぶ道
許す、距離を置く、別れる。
選ぶ時の物差しは、謝罪の言葉の量じゃなかった。
Mさんが見ていたのは、隠していた事実を彼が自分から全部出すかどうか。
聞かれた分だけ小出しにする人は、次も同じことをする。彼女はそう判断して、3か月後に別れを選んだ。
男友達とは、縁を切らずに距離だけ空けたらしい。頼まれて断れなかった弱さと、自分から裏切る悪意は別物だから、って。
聞きながら、思わず膝を打ってた私。
恋人と友達を同時に疑う時期は、味方がひとりもいない感覚に沈む。
そこで、どちらとも利害のない人を1人だけ確保して。職場の先輩でも、カウンセラーでもいい。
マッチングアプリの相手が店とグルだった時の見抜き方
会計12万円、Kくんの夜
撮影チームの後輩の友人、Kくん。29歳の会社員。
アプリで知り合った女性と、新宿で初めて会った日のこと。
1軒目は普通の居酒屋。会って40分で彼女が言い出した。知り合いのバーが近くにあるんだけど、行かない?
雑居ビルの5階。メニューに値段がない。
頼んでもいないテキーラのショットが、次々と置かれていく。彼女はトイレに立ったきり戻らず。
会計は12万8千円。
伝票を見た瞬間、心臓がドクンと鳴って、指先が冷たくなった。あの夜を語るKくんの声は、少しかすれてた。
払えないと言うと、店員が2人、出口の前に立ったんだって。
超ムカつくのはここから。Kくんはこの話を、半年間だれにも言えなかった。話そうとするたび、喉の奥が詰まって声が出なかったと言う。
アプリの相手と店が組むこの手口は、警察も注意を呼びかけてる。信じようとした人がお金を取られるって、理不尽すぎるんだが?
会う前に送る一通の台本
見抜くテストは1回で済む。
お店を決める権利を、一度でもこちらに渡してくれるか。
会う前日、この一通を送ってみて。
「お店、私のほうで予約しておくね。苦手な食べ物ある?」
普通の相手なら、助かる、で終わり。
店と組んでいる相手は、ここで粘る。行きたい店が決まってる。友達の店に顔を出したい。予約はいらない。理由は変わっても、場所だけは譲らないんだよね。
2回断られたら、会うのをやめていい。
当日の動きも3カットで。
入店したら、まず料金表をスマホで撮る。値段の書かれていない店なら、注文前に出る。カードは店員に預けず、決済は目の前で。
2軒目は、自分の知っている店か駅前のチェーン店へ。会ってすぐの移動を急かされたら、その日は1軒で解散しよ。
払ってしまった後に動く順番
店内で囲まれて身の危険を感じたら、その場で110番。ためらわなくていい。
店を出た後なら、警察相談専用電話の#9110か、消費者ホットラインの188へ。
カードで払ったなら、その日のうちにカード会社へ電話して事情を話す。
伝票やレシート、相手とのメッセージ画面は消さずに残しておいて。相手のアカウントが消える前に、スクショが先だよ。
Kくんが相談窓口に電話したのは半年後。もっと早く動けばよかった、と苦笑いしてた。
年上の相手に違和感があるなら
グルーミングは、もともと動物の毛づくろいを指す英語。
グルとは別の単語。でも、さっきの秘密の話とつながってくるの。
彼氏と友達のケースでは、自分が秘密の外に置かれる。
グルーミングは逆。自分が秘密の内側へ引き込まれて、親や友達が外に置かれる。
知らないうちに、隠す側の仲間にされてしまう。こうなると、誰にも言えなくなる。
ふたりだけの秘密と言われ続けたSさん
今は24歳のSさんが、過去を振り返って話してくれた。
相手は、SNSで知り合った20代後半の男性。学校の愚痴を、毎晩何時間でも聞いてくれる人だった。
親にも先生にも分かってもらえない時期。彼だけが味方に見えた。
そのうち、決まり文句が増えていく。
このことは2人だけの秘密ね。友達に話すと、きっと邪魔されるよ。
会うのを断ると、返信が急に冷たくなる。翌日には、傷ついたという長文が届く。謝るのはいつもSさんの側。
あの時は恋愛だと信じてた、と彼女は言う。
おかしいと気づいたのは、保健室の先生に何気なく話した日。先生の表情が変わるのを見て、初めて足が震えたと教えてくれた。
聞いていた私は、しばらく相づちも打てず。はぁ…。
信頼できる人に切り出す台本と相談先
恋愛との見分けは、3つの目印で足りる。
ひとつめは、関係を秘密にするよう求められること。ふたつめ、友達や家族と過ごす時間を嫌がられる。みっつめは、断るたびに罪悪感を背負わされる流れ。
ひとつでも当てはまるなら、相手の優しさは判断材料から外して。
好きになった自分を責めなくていいよ。手なずける側は、好きにさせるところまで含めて近づいてくるんだから。
切り出す台本は短くていい。
シーン1。話す相手を1人決める。保健室の先生、年の離れたいとこ、バイト先の信頼できる先輩。
シーン2。口に出すのは、このひと言。
「ちょっと聞いてほしいことがあって。今付き合ってる人のこと、変じゃないか見てほしい」
シーン3。トーク履歴を、そのまま見せる。説明はうまくなくて平気。
あのDMに返した言葉
冒頭のDMの送り主には、確かめ方の台本をまるごと返信した。
1週間後、短い返事が届いてさ。
聞いてみたら、誕生日の準備だったそうです。疑ってごめんと謝ったら、隠すの下手でごめんって笑われました。
画面の前で、肩の力が一気に抜けたよ。

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