妄想好きな人の恋愛|好きな人を妄想する心理とやめたい時の対処法

会議室の隅で、ミカがスマホを裏返した。 既読がつかない。もう三時間。

「もしさ、返事が来て、次の日曜に誘われたらさ…」

そこから止まらなくなった。待ち合わせの駅、彼が着てくる服、帰り道で指が触れる場面まで。

(それ、まだ返事来てないんだよね?) 喉まで出かかった言葉をコーヒーで流し込んだ、あの時の私。

恋愛系ショート動画の制作チームで、好きな人のこと、頭の中でどう扱ってるのか、友だちや知り合いに聞いて回ったら半分以上が、ミカと同じことをやってた。

妄想が動き出す場面は決まってる

聞いた話を並べると、始まるタイミングは意外と似てた。 寝る前の布団の中とか、恋愛ドラマでキュンとする場面が流れた瞬間とか。通勤電車で窓に映る自分をぼんやり眺めてる時も多いし。それからLINEの返信待ち。 ドラマ派は、ヒロインの顔を自分に差し替えて再生してるらしい。相手が二次元の推しって子も二人いたな。

ミカは返信待ちが九割。既読がつかない時間が長いほど、脳内ドラマが長編になっていく。 (返事が来ない空白を、ストーリーで埋めてるんだよね) 落ち込んだ夜も多いって。仕事でミスした帰り道、好きな人が隣を歩いてる場面を思い浮かべて、慰めてもらうがいちばん多かった型。

中身はだいたい告白とデート

内容も、驚くほど似てるのよ。 告白されるシーン、初デートの待ち合わせ、ハグ、手をつないで歩く帰り道。付き合ってもいないのに、同棲の間取りまで決めてた子もいた!(笑) みんな未来の甘い場面を先取りしてるわけ。ケンカや別れを思い描く人は、ほぼゼロ。 妄想は、今の自分に足りないものを補うために動く。会えない時間、確かめられない気持ち、自信のなさ。その穴に、都合のいい物語を流し込んでるんだよなぁ。

正体は、寂しさと願望の先取り

妄想って、気持ちいいじゃん。頭の中では絶対にフラれないし、彼は必ず優しい。 その快感が癖になる。脳は楽な方に流れるから、現実で確かめるより頭の中で満たす方を選ぶ。 厄介なのは、妄想してる時間が長いほど、彼への気持ちも膨らんでいくこと。まだ何も起きてないのに、恋の温度だけ上がる。ミカが会議室で息を切らして語ってたのは、まさにその状態だったし。

目次

妄想好きな人の恋愛傾向

片思いが長くなり、頭の中で完結する

妄想好きの片思いは長い。半年、一年、三年。取材した範囲での最長は四年。 理由は単純で、妄想で満たされるから告白する必要がなくなる。脳内で彼と付き合ってる未来を、数えきれないほど体験済み。現実で動く理由が薄れていくのよね。 それでいて、彼が誰かと並んで歩いてるのを見た日は、胃のあたりがずしんと重くなる。 (何も始まってないのに、失恋の症状だけ本物…)

四年の子は、彼が結婚したのをインスタで知ったって。画面を見た瞬間、耳の奥でドクンと鳴ったらしい。脳内では三回結婚してたのに、現実では一回も告白してない。 妄想好きの片思いで、いちばん痛いところ。

目が合っただけで、脈ありに変換する

あと、取材で多かったのがこれ。 エレベーターで目が合った。飲み会で隣の席。スタンプが一個増えてる。 それだけで、妄想の材料が三日分たまる。 ユイ、二十六歳。上司に資料を褒められた翌日から、脳内で社内恋愛が始まってた。会話は週に一回、業務連絡のみ。

それでも帰りの電車で、二人で行く出張の場面まで進んでたって。 小さな出来事に意味を足すのは、妄想好きの得意技。得意すぎて、相手の温度と自分の温度がずれていくんだよね。 (あれ、私だけ盛り上がってる?) その違和感に気づけた時が、たぶん現実に戻るチャンス。

相手に理想を当てはめて、ギャップに落ちる

もう一つの傾向が、勝手に相手像を作ること。 きっと彼は優しい。きっと私の話をちゃんと聞いてくれる。きっと連絡はマメ。 で、付き合ってみたら、連絡は三日に一回で記念日も忘れるタイプでした、みたいな。 ここで冷める。惚れやすく冷めやすいって言われる人の中身は、たぶんこれ。惚れたのは脳内の彼で、冷めたのは現実の彼。相手は何ひとつ変わってないのにさ。

妄想好きは恋愛に向いてないのか

向いてないとは言い切れないんだよね。 妄想はリハーサルにもなる。告白の場面を何十回も再生してきた人は、いざその瞬間が来た時に声が震えにくい。相手の気持ちを想像する力も、妄想しない人より強いし。

ただし条件が二つ。妄想を現実の行動に変換すること。相手を頭の中の彼と比べて減点しないこと。 この二つが抜けた瞬間、妄想は恋を止める側に回る。 取材した中で、付き合えた人と付き合えなかった人の差は、妄想の量じゃなかった。妄想の後に、一個でも動いたかどうか。差はそこだけ。

恋を進める妄想と、止める妄想の見分け方

楽しんで終われるなら、やめなくていい

寝る前に十分だけ妄想して、にやけながら寝る。次の日、普通に彼に挨拶できる。これはやめる必要ゼロ!趣味みたいなもんだし。 分かれ目は、妄想した場面を一つでも現実に持っていけてるかどうか。頭の中で話しかけたなら、翌日に一言でも話しかける。それができてる人の妄想は、恋を前に進めてるわ。

相手を減点し始めたら、止める側

逆に危ない妄想には共通点があってさ。 一つ目、彼の返信がそっけないと、理想の彼と比べて減点してる。 二つ目、次に会うハードルが上がって、誘えなくなってる。 三つ目、返事が来ないと、浮気とか他に好きな人がいるとか、悪い方の物語が動き出す。 どれか一つでも当てはまるなら、妄想が恋を止めてる。まさか自分が、と思った人ほど当てはまるやつ。

恋愛妄想をやめたい時にやること

まず、妄想が始まる引き金を突き止める

やめたいと思いながら、やめられない。だって気持ちいいから。 だから意志で止めようとしない。引き金を先に潰す方が早いんだよ。 ミカなら返信待ち。別の友だちは寝る前のインスタ。彼の投稿を見て、そこからシナリオが回り出す。 引き金がわかったら、その時間に別の行動を入れる。

返信待ちの時間は、スマホを別の部屋に置いて風呂に入る。寝る前のインスタは、充電器を寝室から出す。 妄想を止めるんじゃなくて、始まる時間帯の方を消すわけ。 妄想の時間そのものを手放したくないなら、一日十五分と決める。タイマーが鳴ったら終わり。区切りがあるだけで、妄想が生活を食わなくなるよ。

書き出して、一つだけ現実に持っていく

二十人の中で、いちばん効いてた方法がこれ。妄想の中身をノートに書く。 書いてる途中で耳が熱くなるけど(笑)。 でも文字にすると、妄想が急に小さく見える。頭の中では壮大だったデートが、三行で終わったりするし。 その三行の中から、今の自分にできることを一つ選ぶ。おすすめのカフェを聞いてみる。次に会った時に、ドラマの話を振ってみる。 妄想を行動のリストに変えると、脳が現実の側に報酬を感じ始めるの。

男性と女性で、やめるべき妄想が違う

企画会議で気づいたんだけど、妄想の中身が男女でけっこう違うのよ。 男性の妄想は、告白前の脳内完結が多い。二十九歳の営業マン、ケンタ。好きな子とご飯に行く前提で、話題を五つ用意。シャワーを浴びながら、二週間も会話の練習をしてた。で、実際に会った時に出た言葉は、お疲れ、だけ。 誘うより先に、頭の中で全部終わらせちゃうんだよなぁ。

だから男性は、妄想の完成度を下げて、雑に誘う練習の方が向いてる。誘いの文面は一行でいい。 女性の妄想は、相手像の決めつけと不安の物語が多い。きっと彼はこう思ってる。連絡が遅いのは私に興味がないから。 こっちは、決めつけを本人に聞く癖をつける方が近道。それってどう思う?の一文。妄想で自己完結してたことを、相手に確かめにいく。

彼氏への悪い妄想が止まらない時

返信が遅いだけで、浮気の物語が完成する

サキ、三十一歳。付き合って半年の彼の返信が遅くなった夜の話。 飲み会だって聞いてたのにさ、と話し始めた声が、途中から突然低くなった。 飲み会じゃなくて女とデート、本命に断られて私は二番手。深夜二時までに、そのシナリオが完成してたって。彼のインスタのフォロー欄を、指の腹が痛くなるまでスクロールしながら。

朝、彼から届いたのは、昨日は飲みすぎた、ごめん、の短い返事。 それだけ。それだけなのに、サキは自分の筋書きを捨てられなかった。 (本当に飲み会だった?)

次に来たのは試し行動。わざと返信を遅らせて、彼がどれだけ追ってくるか測る。彼からの通知が鳴るたびに、首筋がひやっとしたらしい。結局、自分の筋書きに合わせて相手を試して、相手が疲れて離れていく。妄想で関係を壊すって、この流れよ。 甘い妄想と同じ回路で、悪い物語も作れちゃう。しかも不安が強い時ほど、悪い方が先に動く。

事実と解釈と感情を、三つに切り分ける

悪い妄想が回り始めたら、紙に三つ書く。 起きた事実。返信が来ない、飲み会と言われた、これだけ。 自分の解釈。浮気してるかも、興味がなくなったかも。 今の感情。胸がざわざわして、眠れない。 書いてみると、事実は一行で、解釈と感情が十行ある。 悪い妄想の中身は、解釈の暴走。事実が一つも増えてないのに、物語だけ増えてる。 その差が紙の上で見えただけで、深夜のスクロールが止まったって。はぁ…、と長い息を吐いてサキが言ってたわ。

不安は責めずに、こう伝える

悪い妄想を抱えたまま彼に会うと、言葉がトゲになる。昨日ほんとに飲み会だったの?は、詰問にしか聞こえないでしょ。 代わりに、事実と自分の状態だけを渡す。

「返信が遅いと、悪い方に考えちゃう癖があってさ。飲み会の日は、始まる前にひとことだけ欲しい」 責めてない。要求も小さい。彼が動きやすい。 サキはこれを言うのに三日かかったらしい。言い終わった後、手のひらがびっしょりだったって。返事は、そんなの言ってくれればよかったのに、の一言。拍子抜けするくらい軽い声だったって。

今日からできるアクションプラン、台本つき

ショート動画の台本と同じ書き方で置いておくね。

シーン一、寝る前。 布団の中でスマホに手が伸びかけたところで止まる。充電器はもう別の部屋。妄想が来たら、今日いちばん気になった彼のセリフをノートに一行だけ書く。書いたら電気を消す。

シーン二、返信待ち。 既読がつかない。ここでスマホを裏返す。裏返したら、風呂か散歩か皿洗い。手を動かす作業を十五分。戻ってきても返信がなければ、それは事実として一行に書く。物語は書かない。

シーン三、次に会う日。 頭の中で話したことを、一つだけ実行する。セリフは決めておく。 「この前言ってたカフェ、まだ行ってないんだけど、おすすめってどこ?」 これで十分。返ってきた反応で、理想の彼を現実の彼に上書きする。

シーン四、悪い妄想が出た夜。 紙を三つに分けて、事実、解釈、感情。事実が一行しかないのを確認したら、翌日に言うセリフを一つだけ用意する。 「返信遅いと考えすぎちゃうから、飲みの日は先に一報もらえると助かる」 それ以上は言わない。

ミカはあの会議の翌週、彼にカフェを聞いたらしい。返事は、そこ行ったことないから今度一緒に行く?だったって。 妄想の中で散々聞いたセリフとは、少し違ってたみたい。でも、そっちの方がずっといいって、口元が緩んでた。

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